記事写真引用: Ascii.jp x ビジネス
http://ascii.jp/elem/000/001/776/1776133/
2018年11月26日に Ascii.jp で公開された記事ですが、今後のドローン事情に関わる内容のため転載させて頂きます。
航空機の安全確保と、ドローン操縦者の説明責任を明確にするために作成された世界初のドローンの国際規格の草案が、11月22日に公表された。
国際標準化機構(ISO)は、ドローンの操縦に関する規格の草案を公表した。2019年1月までコメントを受け付け、2019年内に世界中で採択される見通しだ。
草案は、おおむね納得のゆく内容となっている。空港や機密に関わる場所から十分な距離を確保するために「飛行禁止区域」の設定を求め、制限区域内での飛行を阻止するために、位置情報に基づいて仮想的な境界線を設定するジオフェンシング・テクノロジーの導入を提案している。さらに、飛行記録、訓練、保守管理の必要性も提唱し、操縦者にはプライバシーとデータ保護の尊重を徹底させるための規則を設定する。重要事項として、人間が介入するフェールセーフ手段がすべてのドローンの飛行に対して必須であるとしており、ドローン操縦者の説明責任を確立する。
業界での一貫した規制に合意が得られれば、より強固な安全性とセキュリティが保証されることから、ドローン技術を積極的に採用する組織が増えるはずだ。11月22日のファイナンシャル・タイムズ紙では、英国の航空安全委員会のトップが、現在では航空機事故の半数がドローン絡みの事故であると述べている。英国の航空管制業務業務を担うイギリス航空管制公社(NATS)のアラステア・ムイーは、ドローンの脅威に対抗する技術がもっと必要であるとしており、より良い基準の確立もそれに役立つはずだ。
今回発表されたのは、ドローンの飛行に関する4部から成る規格のうちの最初の1部である。残りの3部では、技術仕様、製造品質、飛行管理についてさらに深く掘り下げていく。
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記事はここまでとなっているが、今回の記事の中で言っている
「制限区域」「飛行禁止」「仮想的な境界線を設定するジオフェンシング・テクノロジーの導入」
という事に対して注目が必要かと思います。
2020年 東京オリンピックに向け、日本の警察がドローン対策に本腰を入れ始めている事が伝わってきています。
2018年 平昌冬季オリンピックでは、Intelが1218機ものLED搭載ドローンを使い壮大な光のショーを行った事は記憶に新しいところですが、まだその頃は、一般の方がドローンを自由に購入出来るようになって間もない頃で、実際に機体を持っているのは、ごく一部の愛好家だけしかいなかったと思います。
あれから約1年、この間にドローンと、それに関わる業界全体は大きな進化を遂げ、非常に多くの方が実際にドローンを所持する事も珍しくはなくなってきました。
しかし、その多くの人たちの中のごく一部に、法やルールを遵守しようとしない悪質な考えを持つ人もいるのかもしれません。車で歩行者天国の交差点に飛び込む犯罪者のように。
そのような人たちがオリンピックに乗じて、悪質な行為や、ルールを無視した利己的な判断でドローンを利用する事になれば、当然世界中でドローンへの印象は悪い方へと進み、有用な技術すら利用出来ないという世の中になってしまうかもしれません。
Drone International Association にも、今後のドローン対策に向けて協力して欲しいと警察からの要請があり、まだ何をするかは決まっていませんが、オリンピック開催を切っ掛けとして、DIAとしても何らかのお力添えをする事になるのかもしれません。
オリンピックに向けて警察が取り組もうとしているドローン対策は、ただドローンに対して「規制を強化する」という目的ではなく、最終的には「そのテクノロジーを車のようにもっと活用する為に、まずはルールを守って!」という方向に向かうような対策になって欲しいと思います。
その方法の1つとして、現在DJIのドローンで採用されている、「安全飛行データベースによる空港近辺の飛行禁止区域をドローンに理解させ、飛行出来ないようにする。」という、既に実現されているジオフェンス同等の機能をオリンピック会場近辺にも適用したり、DJI以外のドローンメーカに対しても、それに近い機能を持たせるように要請していくなど、各機器ごとに安全に飛行出来る機能を搭載してもらう事も対策の一つになるのではないかと思います。
ドローンを無効化するジャミング装置などを使って、意図的に墜落させる・・・など、とんでもない対策にならなければいいですね。
ドローンは車と同様に、扱い方ひとつで人類にとって非常に有用なテクノロジーにもなり、無差別テロや大事故を起こす凶器にもなり得ます。
車のようにルールが制定され、利用者は活用方法を学び、よりよい環境、生活を得るためにその技術を使うようになれば、ドローンも車のように人類に大きな恩恵を与えてくれる非常に優れたものだと考えています。
車が世の中に誕生した時も、なんと車は公道を走る事が禁止されており(!)、「どこも走る事が出来ないのであれば、より良い車を作る為の研究をどこでやったらいいのか!」 と研究者たちは声を上げたそうです。それでも全ての車は警察の取り締まり対象となり、研究者はみな世界で初めての交通法違反者となっていったそうです。
なんだか今のドローン事情と似ていますね。
ドローンの今後の活用を進めるためには、車が初めて世に送り出された時の教訓を再度見つめ直し、同じ過ちや、無駄な時間を過ごす事無く、前向きに事を進めていく事が必要だと考えます。
今回の、ISOの安全確保の為の国際基準も、ルールを守る事から始まる、ドローンを自由に使える世の中とする為の第一歩になって欲しいですね。