2019年5月17日 及び 2019年6月13日
ドローン規制に関わる法律に改正がありました。
具体的には、「小型無人機等飛行禁止法」と「航空法、及び、運輸安全委員会設置法」の一部で改正がありましたので、ドローンだけでなく、他航空機においてもその規制等の影響を受ける事になりますが、
ここでは特に ”ドローン” に関わる部分について紹介を致します。
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2019年5月17日
【 小型無人機等飛行禁止法の一部を改正 】
小型無人機等飛行禁止法でポイントになるのは「ドローンが飛行できない場所が増えた」ことと、違反の際は「安全確保措置が規定された」ことの2点です。
■ドローンが飛行出来ない場所が増えた。
[小型無人機等飛行禁止法] として飛行禁止が指定された施設 (従来から禁止されていた施設を含む)
■国政の中枢機能等の維持 (従来より飛行禁止)
- 国会議事堂等
- 内閣総理大臣官邸等
- 機器管理行政機関
- 最高裁判所庁舎
- 皇居、御所
- 政党事務所
■良好な国際関係の維持 (従来より飛行禁止)
- 外国公館等
■公共の安全の確保 (従来より飛行禁止)
- 原子力事業所
■我が国を防衛する為の基盤の維持 (今回の法改正より飛行禁止)
- 自衛隊施設
- 在日米軍施設
■ラグビーワールドカップ2019、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会関係施設 [各特別措置法] (今回の法改正より飛行禁止)
- 大会会場等
- 空港
■飛行禁止場所の飛行禁止範囲は?
- 対象施設の直上は飛行禁止
- 施設の外周から概ね300mの範囲の上空は飛行禁止
■飛行禁止の例外 (飛行許可) として
※ 防衛施設と対象空港の直上は、対象施設の”管理者”の許可を得た者のみ飛行可能。
※ 防衛施設と、対象空港以外の施設や飛行範囲においては、 [ 飛行禁止の例外 ] の通り許可を得ていれば飛行可能。
■上記法律への違反となった場合はどうなるの?
- 警察官等、又は、自衛官等(警護員)により、機器の退去、排除措置等の命令が可能となった。
- やむを得ない限度において、飛行の妨害、機器の破損、その他の必要な措置を取る事が可能となった。
- 罰則: 1年以下の懲役、又は、50万円以下の罰金。
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2019年6月13日
【 航空法 及び 運輸安全委員会設置法の一部を改正 】
今回の改正で2つの禁止事項、2つの遵守事項、飛行を行う者(事業者等)に対する義務、制度等の追加。更に、安全飛行への妨害を行う者への罰則が追加されました。
■追加された事項
- 飲酒時の操縦禁止
- 飛行前点検の遵守
- 衝突予防の遵守
- 危険な飛行の禁止
- 報告徴収、立入検査対象の拡大
- 飛行に影響を及ぼす恐れのある行為をしてはならない(第134条の3)
■飲酒時の操縦禁止
当然ですよね。車もドローンも航空機も、飲酒時は操縦ダメ。絶対。と言う事ですね。アルコールだけでなく、薬物の影響も含まれています。
罰則: 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金
■飛行前点検の遵守
飛行の前には最低限、国土交通省標準飛行マニュアル記載の機体点検は実施し、飛行に支障が無い事、飛行の準備が出来ている事を確認した上で飛行させなければなりません。
罰則: 50万円以下の罰金
■衝突予防の遵守
他航空機との衝突を予防する為に、周囲の状況を適切に判断した上で、ドローンを降下させる、着陸させるなどの衝突予防措置を取る事が義務付けられます。
罰則: 50万円以下の罰金
■危険な飛行の禁止
必要性の無い急降下や、高調音を発するような危険な飛行により、周囲に迷惑を掛けてはなりません。不要なレクリエーション飛行のような事は避けるべきと言う事ですね。
罰則: 50万円以下の罰金
■報告徴収、立入検査対象の拡大とは?
飛行を行う者は当然ながら、無人航空機の設計に関わる者、機関に対して、飛行方法や設計に関わる報告を求める事が可能となりました。
更に、飛行を行う者、設計に関わる者、機関等の事務所、工場等へ立ち入って、機体の押収、資料、帳簿、書類等の検査、及び、関係者への質問を行う事が出来る事となりました。
■飛行に影響を及ぼす恐れのある行為 とは?
”第134条の3
3 何人も、みだりに無人航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある花火の打上げその他の行為で地上又は水上の人又は物件の安全を損なうものとして国土交通省令で定めるものをしてはならない。”
つまり、打ち上げ花火など、ドローンを狙い撃ち出来る何かによって安全な飛行を妨げる行為をしたものに対して罰則を設けるという事になりました。
罰則: 30万円以下の罰金
今までドローンを飛ばす側に対しての規制やルールばかりが目立っていましたが、今回は、飛行に関わりの無い第三者に対しても、安全を脅かす行為や墜落の原因となりかねない行為に対して取り締まりを行うという事ですね。
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如何でしょうか。
今回の法改正では、ドローンを飛行させる上で、より安全に配慮した行動、知識が求められる内容になっていると思いますが、決して今までよりも飛行させる事が困難になったという印象は無いと感じます。
今後、ドローンが当たり前に飛行する世の中になり、車のように生活の必需品となっていくとき、更なる法整備が必ず必要となります。
その時、ドローンを取り巻く法律がより規制の方向に向かってしまうのか、より安全に有効活用出来る方向へ向かうのかは、今ドローンに関わる関係者全ての人たちの意識と行動に掛かっているという事を決して忘れてはならないと思います。